採用コストが媒体費に偏っていないか
採用単価が上がり続けている。来期の予算が組めない。採用単価を下げる話は、どこを削るかの前に、何を測っているかから始まります。
採用単価は 採用にかかった費用 ÷ 採用人数 です。したがって下げ方は2つしかありません。分子(費用)を減らすか、分母(採用人数)を増やすかです。
多くの場合、費用を削るより先に、同じ費用で採用人数を増やせる余地があります。応募が来ているのに面接に至っていない、入社後すぐ辞めている、といった漏れは費用を1円も減らさずに単価を下げます。
まず、自社の採用単価を出す
相場を調べるより先に、自社の数字を出してください。他社の平均値は、職種・エリア・雇用形態が違えば参考になりません。
分子に入れるもの
- 求人媒体の掲載費・広告費
- 人材紹介の手数料
- 採用サイト・応募導線の制作費(期間で按分する)
- 面接・選考にかかった人件費(時間 × 時間単価。ここを入れないと、工数を増やす施策が安く見えます)
- 入社時の各種費用(制服、健診、初期研修など、採用に紐づくもの)
分母をどう数えるか
「採用人数」を内定承諾者数で数えるか、実際に入社した人数で数えるか、一定期間定着した人数で数えるかで、見える景色が変わります。
早期離職が多い職場では、入社者数で数えた採用単価は実態より安く見えます。3か月後に在籍している人数で割り直すと、単価が大きく変わることがあります。採用と定着は別の問題ですが、採用単価としては同じ数式の中にあります。
当サイトでは採用単価の相場を金額で示していません。職種・エリア・雇用形態・期間の取り方で大きく変わるうえ、出典が確認できる形で一般化できる数字がないためです。相場の目安が必要な場合は、United Worldが運営する ZeroInterview のアルバイトの採用単価の相場は?をご覧ください。このページで扱うのは、自社の構造をどう変えるかです。
分子を減らす:媒体費に依存しない経路を持つ
求人媒体は、出せば出すほど費用が線形に増えます。一方、自社側に持つ応募経路は、作った後の追加費用がほとんどかかりません。媒体費を減らせるかどうかは、媒体以外の経路をどれだけ持っているかで決まります。
| 経路 | 費用の出方 | 立ち上がり |
|---|---|---|
| 求人媒体 | 掲載ごと・クリックごとに線形に増える | 早い |
| 自社の応募導線(QRコード等) | 初期の設計だけ。以降はほぼ増えない | 中くらい。掲示してから徐々に積み上がる |
| 従業員紹介 | 紹介1件あたりの謝礼 | 制度設計と社内周知が要る |
| 人材紹介 | 成功報酬。決まらなければ発生しない | 職種による |
媒体をゼロにする話ではありません。媒体しか持っていない状態だと、媒体側の価格改定をそのまま受けるしかない、という交渉上の問題があります。
分母を増やす:費用を変えずに採用数を増やす
すでに払っている費用の中で、採用に至らずに消えている応募があります。ここを拾うと、費用を増やさずに分母が増えます。
- 応募したのに連絡がついていない人 | 連絡までの時間を短くする。当日中が目安です
- 面接日程が合わずに流れた人 | 候補日を増やす、あるいは日程調整のいらない一次面接に切り替える
- 応募フォームの途中で離脱した人 | 入力項目を減らす。最初は連絡先だけで足ります
- 不採用にした人のうち、別拠点・別職種なら合う人 | 拠点間で候補者を共有する
このうち、面接の日程調整と実施の負荷については AI面接との連携 で解消できる場合があります。
やってはいけない下げ方
- 採用要件だけを下げる | 単価は下がりますが、早期離職が増えれば結局上がります
- 選考を省く | ミスマッチが増えます。速くすることと省くことは違います
- 募集条件を実態より良く書く | 入社後に判明し、離職と評判の両方を損ないます
よくあるご質問
採用単価の相場を教えてください。
職種・エリア・雇用形態・期間の取り方で大きく変わるため、当サイトでは出典が確認できる形で一般化できる数字を掲載していません。自社の数字を出したうえで、同一エリア・同一職種の募集条件と比較するほうが判断に役立ちます。ご相談時にご一緒します。
人材紹介は媒体より高いのではないですか。
1件あたりの金額は高くなることが多いですが、成功報酬型のため決まらなければ費用が発生しません。媒体は決まらなくても掲載費がかかります。どちらが安いかは充足率によって逆転するため、自社の実績で比較する必要があります。
面接にかかる人件費まで数える必要がありますか。
はい。ここを入れないと、現場の工数を増やす施策が数字の上では安く見えてしまいます。拠点長や店長の時間は採用のためだけにあるわけではないので、実際にはもっとも高い費用であることもあります。