介護で未経験・無資格の人を採用する前に、社内で決めておくこと
公開 2026年9月2日
介護で有資格者だけを対象にすると、地域内の限られた人材を条件の引き上げで奪い合う構図になります。そこから抜けるには、未経験の方を受け入れて育てる設計を持てるかどうかが分かれ目です。
制度上の資格要件は必ず一次情報と自治体で確認したうえで、社内で先に決めておくことがあります。教える人とその時間、最初に任せる業務、資格取得の支援、受け入れられる人数の上限です。これが決まらないまま迎え入れると、教える側の負荷で現場が回らなくなります。
資格要件は制度で定められている
たとえば訪問介護員のように、従事するために制度上の要件が定められている職種があります。省令では、介護保険法施行令に掲げる研修の課程を修了し、修了した旨の証明書の交付を受けた者などが挙げられています。
また厚生労働省は、介護員養成研修として介護職員初任者研修と生活援助従事者研修を定めています。
出典:厚生労働省 介護職員・介護支援専門員(介護員養成研修)/厚生労働省 訪問介護員に関する省令(2026年9月2日確認)
どのサービス区分の、どの業務に、どの要件が必要かは、この記事では判断しません。制度は改正され、運用は自治体によっても異なります。募集を出す前に、最新の制度と所管の自治体の案内をご確認ください。当社が可否を判断することはありません。
このページで扱うのは、制度の要件を確認したうえで、社内で何を先に決めておくかです。受け入れ体制が用意できていない状態で採用を進めると、要件を満たしていても定着しません。
先に決めておく4つのこと
1. 誰が教えるか、その人の時間をどう空けるか
受け入れが続かない事業所に共通しているのは、教える担当が決まっていないか、決まっていてもその人が通常業務と兼務で時間を取れないことです。教える側の時間は採用にかかる費用の一部であり、確保できないなら受け入れ人数を絞るしかありません。
2. 最初に任せる業務と、任せない業務
「できることから」という曖昧な決め方をすると、現場ごとに判断が割れます。任せない業務を先に決めて共有しておくほうが、教える側も本人も動きやすくなります。
3. 資格取得の支援をどうするか
- 費用を負担するか、するならどこまでか
- 勤務時間中に受講できるか
- 取得後の処遇がどう変わるか
この3つが書かれていない「資格取得支援あり」は、応募者にとって判断材料になりません。
4. 月に何人まで受け入れられるか
採れる人数と受け入れられる人数は別です。上限を決めるのは教える側の容量であって、募集の反応ではありません。先に決めておかないと、応募が集まった月に現場が崩れます。
募集を有資格者と分ける
有資格者と未経験者では、応募の判断軸がまったく違います。1本の求人にまとめると、どちらにも刺さりません。
| 有資格者 | 未経験・無資格 | |
|---|---|---|
| 見ているもの | 夜勤の体制、人員配置、職場の雰囲気 | 入職後の流れ、教える人、資格取得の支援 |
| 書くべきこと | 1ユニットあたりの職員数、夜勤の回数、残業の実際 | 誰が教えるか、独り立ちまでの目安、最初に任される範囲 |
| 母集団 | 限られる。地域内で直接取り合う | 広い。ただし育成体制が前提 |
施設ごとの事情は介護の採用支援にまとめています。
それでも足りないとき
育成の設計を持っても、その通勤圏に働ける人がいなければ母集団は増えません。その場合は経路を増やすか、対象を広げる話になります。
- 媒体の外に応募経路をつくる | 施設周辺からの応募を取りこぼさない
- 現場人材の人材紹介 | 人数が限られる採用に向きます
- 現場職の外国人材採用支援 | 受け入れ準備の整理から
よくあるご質問
無資格の方でも受け入れられますか。
任せる業務と、そのサービス区分に定められた要件によります。制度は改正され、運用は自治体によっても異なるため、この記事では判断しません。厚生労働省の情報と所管の自治体にご確認ください。当社も可否の判断は行いません。
未経験者を採ると現場の負担が増えませんか。
増えます。だから受け入れ人数の上限を、募集の反応ではなく教える側の容量で決める必要があります。上限を決めずに人数を増やした事業所で、教える側の負荷から離職が起きるのはよくある形です。
有資格者だけを追い続けるのは難しいですか。
地域内の有資格者は限られており、条件の引き上げ競争になりやすい構造があります。短期的には成立しても、中期の充足率は育成の設計を持っている事業所のほうが安定します。