人材紹介と求人媒体を、現場職でどう使い分けるか
公開 2026年9月28日
両者のいちばんの違いは金額ではなく、費用が発生する時点です。求人媒体は掲載した時点で、人材紹介は入社が決まった時点で発生します。
したがってどちらが安いかは充足率で逆転します。掲載しても決まらない状態が続いているなら、払った掲載費の総額が紹介手数料を上回っていることがあります。相場を調べるより、自社の実績で比べてください。
以下では、判断軸と、どちらが向くケースを整理します。当社に依頼するかどうかとは別に使える形にしています。
費用の出方が構造的に違う
| 求人媒体 | 人材紹介 | |
|---|---|---|
| 費用が出る時点 | 掲載した時点 | 入社が決まった時点 |
| 決まらなかったとき | 費用は戻らない | 費用は発生しない |
| 届く相手 | 自分で探している人 | 登録している人、声をかけて動く人 |
| 自社の工数 | 応募対応と絞り込みを自社で行う | ある程度絞られた状態で会える |
| 向く場面 | 継続的な募集、母数が要る採用 | 人数が限られる採用、急ぎの補充 |
表の1行目がすべてです。媒体は採用できてもできなくても費用が出ます。紹介は決まらなければ出ません。この違いが、充足率によって有利不利をひっくり返します。
自社の数字で比べる
相場ではなく、自社の直近1年で計算してください。厳密でなくても桁が分かれば判断できます。
- 媒体経由:その期間に払った掲載費の合計 ÷ 媒体経由で入社した人数
- 紹介経由:その期間に支払った手数料の合計 ÷ 紹介経由で入社した人数
- どちらにも:選考にかかった自社の人件費を足す(時間 × 時間単価)
3つ目を入れないと、現場の工数を増やす手段が数字の上では安く見えます。拠点長や店長の時間は、実際にはもっとも高い費用であることもあります。考え方は採用コストが媒体費に偏っていないかにまとめています。
制度として決まっていること
人材紹介を検討するなら、制度の枠組みだけは知っておくと判断しやすくなります。
- 有料職業紹介事業は許可制です。 厚生労働大臣の許可が必要とされています
- 事業者が徴収できる手数料の種類は限定されています。 受付手数料および上限制手数料、届出制手数料、求職者手数料、経過措置による求職受付手数料の4種類が挙げられています
- 求職者から手数料を徴収できるのは、制度上定められた一部の職業に限られます。求職受付手数料は「芸能家」「家政婦(夫)」「配ぜん人」「調理士」「モデル」「マネキン」、求職者手数料は「芸能家」「モデル」「経営管理者」「科学技術者」「熟練技能者」が挙げられています
3つ目は、自社の職種が該当するかを確かめてから判断してください。たとえば「調理士」「家政婦(夫)」は列挙に含まれています。「現場職なら求職者から取られない」といった一般化はできません。
手数料の2つの決まり方
手数料には上限制と届出制があり、実務で多いのは届出制です。上限制については、紹介手数料の最高額が支払われた賃金額の100分の11.0(免税事業者は100分の10.3)と定められています(令和元年10月1日から)。受付手数料は1件につき710円(免税事業者は660円)です。
届出制はこれとは別の仕組みで、事業者が届け出た範囲で定めます。したがって上の数字を「相場」として読まないでください。実際に提示される条件は、依頼先と職種によって異なります。
上限制と届出制は、取扱分野に応じて併用しても差し支えないとされています。ただし同一の者に対して併用して徴収することはできません。また求職受付手数料には、同一の求職者について1箇月あたりの件数の上限があります。
出典:厚生労働省(石川労働局)職業紹介事業とは/厚生労働省 紹介手数料の最高額の改正について(2026年9月2日確認)
制度は改正されます。金額や対象職業は上記の一次情報で最新をご確認ください。当社は個別の適否を判断しません。
判断軸:4つ見れば決まる
| 見るもの | 媒体が向く | 紹介が向く |
|---|---|---|
| 採用人数 | 継続的に複数名。母数が要る | 1〜数名。確実性が要る |
| 期限 | 急がない。積み上げられる | 期限がある。決め切りたい |
| 自社の選考工数 | 応募対応に人を割ける | 割ける人がいない |
| これまでの充足率 | 掲載すれば決まっている | 掲載しても決まっていない |
4つ目がいちばん効きます。掲載しても決まっていないなら、媒体を増やしても同じことが起きます。
併用が向くケース
- 職種で分ける | 応募が集まる職種は媒体、集まらない職種は紹介
- 拠点で分ける | 商圏が弱い拠点だけ紹介を使う
- 期間で分ける | 平常時は媒体、立ち上げや繁忙期の前倒しだけ紹介
- 同時に走らせる | 期限があり、どちらで決まってもよい場合
併用するときは、どちらの経路から決まったかを必ず記録してください。記録が無いと、翌年も同じ配分を続けることになります。
どちらでもないケース
通勤圏に対象となる人がそもそも少ない場合、媒体も紹介も効きにくくなります。その場合は募集条件そのもの(勤務地、時間帯、必要な資格)を見直すか、自社側に応募経路を持つ話になります。手段の比較より前に、そこを確認したほうが早いことがあります。
確認しておくとよいこと
人材紹介を使うとき、依頼先について次を確認しておくと安心です。
- 許可を受けているか | 有料職業紹介事業は許可制です。許可番号が明示されているか
- 手数料の種類と算定根拠 | 上限制か届出制か、何を基準に、いつ請求されるか
- 返金の規定 | 早期に退職した場合の扱いを契約前に確認する
- 求職者側の負担の有無 | 自社の職種が求職者手数料の対象に該当するかを含めて確認する
当社は有料職業紹介事業の許可(13-ユ-318258)を受けています。
現場職での使い分け
| 状況 | 向いている手段 |
|---|---|
| 少人数を期限までに確実に | 人材紹介 |
| 欠員補充が継続的に発生する | 媒体+自社の応募経路 |
| 店舗・拠点に人が来る業態 | 自社の応募経路を先に持つ |
| 短期間でまとまった人数 | 母集団形成+紹介 |
| 通勤圏で母集団が作れない | 対象を広げる |
どれか1つに寄せる話ではありません。媒体しか持っていない状態は、媒体側の価格改定をそのまま受けるということでもあります。経路を複数持っていること自体が交渉力になります。
依頼する前に決めておくこと
次が決まっていると、紹介の精度が上がり立ち上がりも速くなります。
- 必須とする条件と、あったほうがよい条件の切り分け
- 資格や免許が着任時に必要か、入社後の取得でよいか
- 勤務地と通勤手段(駐車場の有無は現場職では条件そのものです)
- シフトが固定か変動か。変動なら何週間前に確定するか
- 選考の流れと所要日数
詳しくは現場人材の人材紹介をご覧ください。
よくあるご質問
人材紹介は媒体より高いのではないですか。
1件あたりの金額は高くなることが多いですが、決まらなければ費用が発生しません。媒体は決まらなくても掲載費がかかります。どちらが安いかは充足率で逆転するため、自社の実績で比べる必要があります。
紹介手数料の相場を教えてください。
当サイトでは相場を示していません。制度上は上限制と届出制があり、実務で多い届出制は事業者が届け出た範囲で定めるため、職種や条件で変わります。上限制の最高額は厚生労働省が公表しています。ご相談時には自社の条件に即したお見積りをお出しします。
いま使っている媒体はやめるべきですか。
いいえ。まず、いまの媒体で何が起きているかを数字で見せていただくところから始めます。止めるかどうかは、その後に判断する話です。