媒体を増やす前に、媒体の外に経路を持つ
求人を出しているのに応募が集まらない。出稿を増やすのが一番早いとは限りません。媒体の外に応募経路を持てているかどうかが、中期的な採用力を決めます。
応募が足りないとき、打ち手はいま出している募集を直すか、経路を増やすかの2つです。前者は費用がかからず即効性がありますが、直しきったあとは頭打ちになります。
現場職で効いてくるのは後者です。求人媒体は「いま探している人」にしか届きません。店舗や拠点を日常的に見ている人、いま探していない人、媒体に登録していない人には、媒体以外の経路がなければ届きません。
経路を複数持っていることは、媒体側の価格改定をそのまま受けずに済むという意味でもあります。
まず、どの段階で落ちているかを見る
応募が来ないと言うとき、実際には次のどこかで数字が落ちています。掲載媒体の管理画面から取れる数字だけでも、かなり切り分けられます。
| 段階 | 見る数字 | ここが低いときに疑うこと |
|---|---|---|
| 表示 | 求人の表示回数・掲載順位 | そもそも露出が足りない。エリア・職種の設定、掲載プランを確認する |
| 閲覧 | 求人詳細の閲覧数(クリック率) | タイトルと給与の見え方。一覧で選ばれていない |
| 応募開始 | 応募フォームへの遷移数 | 詳細本文で離脱している。条件が伝わっていないか、不安が残っている |
| 応募完了 | 応募数 | フォームが長い・入力しづらい。スマートフォンで確認する |
| 連絡到達 | 連絡がついた数 | 応募から連絡までの時間。ここが遅いと他社に決まる |
多くの場合、表示と閲覧は足りているのに応募完了で落ちている、あるいは応募は来ているが連絡がつかないのどちらかです。前者は求人票と応募フォームの問題、後者は運用の問題で、対処がまったく違います。
1. 募集条件:同一エリアの他社と並べる
現場職は通勤圏で応募先が決まります。全国平均の相場ではなく、同じ市区町村・同じ職種の他社募集と並べて見ることが必要です。
- 時給・月給の下限(求職者は下限で比較します)
- 勤務時間帯と休日の書き方(シフトの自由度は条件そのものより効くことがあります)
- 経験・資格の要件(「要普通免許」と「要中型免許」では母集団の大きさが桁で変わります)
- 通勤手段(駐車場の有無、最寄駅からの距離、送迎の有無)
条件を上げずに応募が増えることもあります。たとえば要件に書いていた資格が実際には入社後取得でよい場合、それを明記するだけで応募できる人が増えます。
2. 訴求:まず求人原稿を直しきる
現場職の求人でよく欠けているのは、1日の流れと入社後の立ち上がりです。未経験者は「自分にできるか」が分からないと応募しません。
求人原稿の直し方そのものは、United Worldが運営する ZeroInterview のサイトに詳しい記事があります。ここで同じ内容を繰り返さず、そちらをご覧ください。<br>・応募が来ない求人の共通点──今すぐ直せる7つのポイント<br>・応募が2倍になるパート求人原稿の書き方
このページで扱うのは、原稿を直しきったあとに何が残るかです。原稿と条件を直しても足りない分は、経路を増やすほかありません。
3. 掲載チャネル:媒体だけに依存していないか
求人媒体は、求職中の人にしか届きません。現場職では、いま積極的に探していない人や、その店舗・拠点を日常的に見ている人からの応募が無視できない割合を占めます。媒体以外の経路を持っているかどうかで、媒体費の交渉力も変わります。
| 経路 | 届く相手 | 特徴 |
|---|---|---|
| 求人媒体 | 積極的に探している人 | 即効性はあるが、競合と同じ土俵で価格競争になる |
| 自社の応募導線(QRコード等) | 店舗・拠点を見ている人、通りかかった人 | QRコード応募導線。掲載費がかからず、続けるほど積み上がる |
| 従業員からの紹介 | 働いている人の知人 | 職場を理解したうえで入るため定着しやすい。制度設計が要る |
| 人材紹介 | 登録している人・声をかけられた人 | 人材紹介。成功報酬型で、決まるまで費用が出ない |
| 外国人材 | 国内在住の外国籍の方など | 外国人材採用。制度の確認と受け入れ準備が必要 |
4. 応募導線:スマートフォンで自分で応募してみる
これは今日できて、効果が大きいことが多い確認です。自社の求人を自分のスマートフォンで開いて、最後まで応募してみてください。
- 応募までに何回タップが必要か
- 入力項目はいくつあるか(履歴書の内容を先に聞いていないか)
- 会員登録が必要になっていないか
- 入力中に画面が横にずれたり、文字が拡大したりしないか
- 応募後に「いつ連絡が来るか」が表示されるか
現場職の応募者は、移動中や休憩中にスマートフォンで応募します。入力項目が多いフォームは、そこで止まります。最初の接点で聞くのは、連絡が取れる情報だけで足ります。
5. 応募後の速度
応募から連絡までの時間は、歩留まりに直結します。現場職の応募者は複数社に同時に応募していることが多く、先に連絡がついた会社から選考が進みます。
連絡が遅れる理由は、たいてい担当者の時間が足りないことです。拠点長・店長が面接も兼ねている場合、応募が増えるほど対応が遅れるという逆転が起きます。この段階がボトルネックであれば、AI面接との連携で一次面接を日程調整なしに実施する方法があります。
順番を守る理由
応募が来ないとき、最初に出稿を増やしたくなります。しかし応募フォームで落ちているなら、出稿を倍にしても応募は倍になりません。表示を増やす施策はいちばん費用がかかり、いちばん最後に効きます。先に無料で直せるところを直したほうが、同じ予算で採用数が動きます。
よくあるご質問
求人媒体を増やせば応募は増えますか。
増えることもありますが、応募フォームや連絡速度で落ちている場合は増えません。まず媒体の管理画面で、表示・閲覧・応募の数字を確認してください。閲覧はあるのに応募が少ないなら、媒体を増やしても同じことが起きます。
給与を上げないと採用できませんか。
条件が明らかに下回っている場合は必要です。ただし同一エリアの他社と並べてみると、条件ではなく書き方で負けていることも多くあります。まず並べて確認することをおすすめします。
応募は来るのですが、面接に来ません。
応募から連絡までの時間を確認してください。現場職の応募者は複数社に同時応募していることが多く、先に連絡がついた会社で選考が進みます。当日中に連絡できているかが分かれ目になります。