自動車運送業で特定技能外国人を受け入れる前に、社内で決めておくこと
公開 2026年9月1日/最終更新 2026年9月2日
自動車運送業分野は特定技能制度の対象分野に含まれています。ただし受け入れの可否を決めるのは、制度の要件を満たすかどうかだけではありません。教える人の時間が確保できるか、安全に関わる指示をどう伝えるかが用意できていない現場では、採用できても続きません。
在留資格の可否は行政の判断であり、当社は判断を行いません。この記事は社内で先に決めておくことの整理であって、制度の要件については出入国在留管理庁・国土交通省の情報をご確認ください。
制度の確認は一次情報で行う
特定技能制度の対象分野には自動車運送業分野が含まれています。分野ごとに必要な試験や要件が定められており、トラック・タクシー・バスでも内容が異なります。
制度は改正されます。解説記事の内容が古くなっていることがあるため、要件の確認は必ず所管官庁のページで行ってください。
出典:出入国在留管理庁 特定技能制度/出入国在留管理庁 自動車運送業分野/国土交通省 自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて(2026年9月1日確認)
以下は社内での準備についての整理です。個別の在留資格の可否、必要な試験、手続きについては上記の一次情報および必要に応じて専門家にご確認ください。
業務を切り出す
最初に決めるのは、どの業務を任せるかです。ここが曖昧なまま募集を始めると、要件も評価基準も決まりません。
- 運行のどの範囲を任せるか(配送のみか、荷役を含むか)
- 同乗期間をどれだけ取るか
- 任せない業務は何か、その線引きを現場が共有できているか
「できることは全部やってもらう」という前提は、受け入れる側の負荷を見えなくします。任せない業務を先に決めるほうが、教育計画が立てられます。
日本語要件を業務から定義する
「日本語が話せる方」という書き方では、応募する側も受け入れる側も基準を持てません。業務上、何ができる必要があるかで定義してください。
| 場面 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 安全に関わる指示 | 口頭で理解できる必要があるか。書面や図で代替できるか |
| 点呼・報告 | 定型のやりとりか、状況に応じた説明が要るか |
| 配送先での応対 | 相手が誰か。定型の受け渡しか、交渉が発生するか |
| 緊急時の連絡 | 誰に、どの手段で連絡するか。翻訳ツールの併用が可能か |
この整理をしておくと、面接で「経験があるのか」と「日本語で説明できるのか」を分けて評価できます。混ざったまま評価すると、技能はあるのに落とすことになります。
教える人と、その人の時間を決める
受け入れが続かない現場に共通しているのは、教育担当が決まっていないか、決まっていてもその人が通常業務と兼務で時間を取れないことです。
- 誰が教えるか
- その人の担当業務をどれだけ減らすか
- 独り立ちまでの期間の目安
- 教育担当が不在のときに誰が引き継ぐか
教える側の時間は、採用にかかる費用の一部です。採用単価を出すときにも、この工数を分子に入れないと施策の比較ができません。
受け入れ人数の上限を先に置く
採用できる人数と、受け入れられる人数は別です。上限を決めるのは教育側の容量であって、募集の反応ではありません。
月あたり何人まで受け入れられるかを先に決めておくと、募集の設計もそれに合わせられます。決めていないと、採用が進んだ月に現場が崩れます。
業務外の相談先を決めておく
住居、通勤手段、行政手続き、生活上の困りごと。業務外の相談先が社内にないと、困ったことが表面化しないまま突然退職につながります。
- 業務外の相談を受ける担当を決める
- その担当が対応できない内容の相談先を用意しておく
- 本人が使える連絡手段(母語での相談可否を含む)を確認する
募集の書き方で気をつけること
募集にあたっては、国籍を要件とする表現を用いないでください。記述すべきは業務遂行に必要な能力です。
- 「◯◯国籍の方」ではなく、必要な能力を書く
- 必要な免許・資格を、着任時に必要なものと入社後取得でよいものに分ける
- 同乗研修の期間と教える体制を明記する
免許要件の考え方はドライバー採用支援に、外国人材の採用手段としての位置づけは現場職の外国人材採用支援にまとめています。
よくあるご質問
特定技能で採用すれば、すぐに運転業務に就いてもらえますか。
分野ごとに要件が定められており、自動車運送業分野では必要な試験等が定められています。要件の内容は改正されることがあるため、出入国在留管理庁および国土交通省の情報をご確認ください。当社は個別の可否判断を行いません。
日本語能力はどの程度必要ですか。
業務によります。安全に関わる指示を口頭で理解する必要がある業務と、手順が書面や図で示せる業務では必要な水準が違います。「日本語が堪能」ではなく、業務上何ができる必要があるかで定義することをおすすめします。
受け入れの準備で、最初に手を付けるべきことは何ですか。
教育担当を決め、その人の通常業務をどれだけ減らせるかを決めることです。ここが決まらないまま採用すると、教える側の負荷で現場が回らなくなり、早期離職につながります。